活動趣旨

茨城県最高品質農産物研究会

基本理念

世界トップの農産物を開発するために、企業及び大学と連携し、土壌分析、作物体分析、水質分析、残留農薬分析、重金属分析、栄養価分析などを実施することにより、より安全で安心なおいしい農作物を開発する。そして分析を基礎データとし相互に情報を共有し、農作物品質基準を作成し基準をクリアした農作物及び農産物加工品を、共同で国内及び世界に販売する事を目的とする。

Evidence of Leading Farmers

基本のコンセプト

今までの農業は生産性と経済性を重視した中で農産物の生産拡大がすすめられて来た。しかし、その一方で自然・生態系の破壊、化学物質汚染、土壌の劣化、砂漠化の拡大、水質汚染などは生産地域にとどまらず地球規模での環境破壊を招来し、次世代に遺すべきより良い地球環境を危うい状態にしつつある。 それは、「自然と生態系の循環に配慮したもの造り」・「再生可能・資源循環を基本とするものづくり」・「品質と安全性を第一とする経済活動」を柱としてサステナブルなビジネスのデザインが農業分野に欠落していたためである。

そのため、私たちはサスティナブルな農業ビジネスとしての基本コンセプトを明確にすると共に高品質農産物生産基準と評価システムを構築し、科学的なエビデンスのある農産物を生産することが必要である。

そのため以下の様な1.1から1.6に示された基本コンセプトとそれに基づいた項目と基準、評価システムからなる。

注1 サスティナブル:日本では一般的に「持続可能な社会、持続可能な経済活動」と訳されているが、欧米では通常「循環型の生態系・自然のめぐりを大切にし、そのデザインを持った持続性のあるものづくりや経済活動」を意味する。

1.1 科学的に実証された安全性
農産物の安全性が科学的エビデンスに基づいている事、その品質が「安全性」「おいしさ」「健康のための機能性・栄養」を担保している事が必要である。

1.2 生き物の多様性を存続させて生態系を維持する
農作物生産には、その耕作地域の水や土壌の環境と微生物を含めた生き物の多様性を十分に認識し、自然・生態系に配慮した農作物生産であること。

1.3 自然・資源循環型エネルギー
農作物の生産におけるエネルギーは従来のように化石燃料だけに頼るのではなく、自然エネルギーや資源循環による再生産エネルギーを活用することに努力する。

1.4 自然にとって最も大切で有限な水資源を大切にするとともに地域の水資源に影響を与えない農業生産であること。

1.5 経営者は農業に従事する人の安全と健康を維持する為に責任を持つことは農産物生産に不可欠な要素である。

1.6 「農業教育」は自然を大事にし、食のあり方・食育を考え、生命・環境の大切さを認識するとともに、サスティナブルな農業ビジネスを推進するための農業の担い手を確保・育成、また農業のよき理解者・支持者を得て地域社会との連携と協働も重要な事項である。

事業内容と取り組み

当研究会では、土壌分析、水質分析、作物体分析なのど結果を勉強会で検討し、高機能性、低硝酸の高品質野菜について、世界に先駆けた基準を作成し、またその為に必要な農法を提供していく、誇りある農業者として、先端となる取り組みを行っている。

最高品質農産物生産基準

今まで農業は生産性と経済性を重視した中で農作物の生産拡大が進められて来た。しかし、その一方で自然・生態系の破壊、化学物質汚染、土壌の劣化、砂漠化の拡大、水質汚染などは生産地域にとどまらず地球規模での環境破壊を招来し、次世代に遺すべきより良い地球環境を危うい状態にしつつある。

2. 農産物生産の基準
  生産された農産物は科学的エビデンスを確保している。
  安全でおいしさと高機能性成分を確保している高品質農産物であること。
1)農産物に病原性最近が検出されない
  ≪病原性細菌≫

ビブリオ属菌ウェルシュ菌
黄色ブドウ球菌エルシ二ア
サルモネラ属菌エロモナス
カンピロバクター赤痢菌
病原性大腸菌コレラ菌
腸管出血性大腸菌プレジオモナス
パラチフス菌
チフス菌

2)残留農薬基準 ND mg/Kg (表-1)

3)硝酸濃度暫定目標基準(注2)
  野菜、果実などの農作物中の硝酸濃度はおいしさと品質に、さらには出荷後の品質維持、保存性に大きな影響を及ぼす。また高濃度の硝酸は人の健康に影響を及ぼすことが懸念されている。従って表-1に示すような暫定目標基準を定めた。

注2 暫定目標基準:当面2から3年のデータの蓄積及び科学的根拠の見直しにより、基準値の修正もあることを興梠し、暫定目標基準とした。

4)重金属基準 0.1mg/Kg以下(表-1)

5)野菜、果実などの農作物体中には機能性成分を確保している。(表-2)

  A)農作物ごとのAOU(Antioxidant Unit)をORAC法(注3)で測定し、Trolox当量(μol/g)から、濃度レベルを☆印の数で表示する。

  ☆ ☆ ☆ ☆   :大変高い
   ☆ ☆ ☆    :平均レベルより高い
   ☆ ☆      :平均レベル
   ☆       :平均レベルより低い
  B)総ポリフェノール濃度を表示する。
  C)ビタミンC濃度を表示する
  D)必要に応じてビタミンA、E、B群などのビタミン類、カルシウム、マグネシウム、カリウムなどのミネラル類等も分析し表示する。

注3 ORAC法:Oxygen Radical Absorbance Capacityの略でアメリカおよびEUでの抗体酸化力の標準的測定法となっており、測定された相対値を基にTrolox濃度に換算して検体の抗酸化力としている。

3.生産工程

●農地土壌構成成分を理解している
 その産地地域の地質を事前に把握し、土壌分析をしている

●肥料と堆肥
 ア)基本は成分分析値のある完熟たい肥を用いること。
 イ)不完全堆肥を用いてはならない。
 ウ)堆肥製造に落ち葉、家畜の糞尿、廃棄野菜、食品残渣などを活用している。
 エ)下水汚泥堆肥、下水汚泥混入堆肥は用いてはならない(重金属汚染)
 オ)堆肥中の肥料成分と重金属や有害化学部質の含有量を分析している。
 カ)土壌の堆肥成分や作物の種類に応じた適量を施肥する。

 注4 堆肥製造における留意点
 1)一時発酵の温度は60~70度Cになったことを確認する。細菌、原虫、回虫、条虫、糞線虫などの寄生虫、ウィルスが死滅、植物種子も死滅する。
 2)木材チップ、剪定枝、大鋸屑、もみ殻、排菌床は堆肥原料に用いるのは避けた方がよい、これらにはリグニン等の分解に長期間要する成分が多く完熟堆肥になりにくい。
 3)豚糞や鶏糞を堆肥化する場合は飼料に混入されている恐れがある銅や亜鉛など重金属による農業土壌汚染に注意する、また一般に家畜糞尿にはメチシリン耐性ブドウ球菌(MRSA)やパンコマイシン耐性腸球菌(VRE)などに代表される種々の抗生物質耐性細菌が存在する為60~70度Cの高温発酵時間の確保と長期間の養生を特に注意を必要とする。

●完熟堆肥の判定基準

1)アンモニアが検出されなくなることおよび窒素分はすべて硝酸態窒素になっていることが重要である。
2)堆肥の温度が外気と同じである事を確認する。
3)酸素の消費量が進行していない事を確認する。

●農薬

1)農薬使用回数と量(濃度)は可能な限り減らす。薬歴は正確に記録する。
2)農産物の生育状況や環境状況に応じ農薬(殺菌剤、除草剤)を使用する場合は適切な回数と適量に努める。抗生物質農薬は使用してはいけない。
3)生食野菜には農薬を使用しないことを基本とする。